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みとちゃんは元気よく走っていった。一人になって、あたしはもう一度リコーダーを吹く。
『ドドソソララソー、
ファファミミレレ
ドー……』
ほら、一人だとちゃんと吹ける。なのに、何でだよ。何でみんなの前だと吹けないんだよ。
ふと空を見上げる。夕日はもうほとんど沈み、空は紫とオレンジのグラデーションになっている。その中で、一番星がきらきらと輝いていた。
「きらきらぼしか……」
言葉が口を突いて出た。きらきらぼしでも梅ぼしでも、何でも良いからさ、あたしの願い、叶えてくれないかな?
「……願いを叶えるのは流れ星だ」
そう思った瞬間、にわかにその一番星が、ひときわキラリと輝いた。
もしかして!?と、あたしは思ったけれど、お伽話じゃあるまいし、星が願いを叶えてくれるわけはない。
それに、一番星はもうもとの光り方に戻っている。というか、光がだんだん、弱くなっている……?
「うそ!?」
星が、消えた。
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