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シュッシュッシュッ……
「ふふふ。やだ、くすぐったいですよ」
「……うるさい」
お風呂場で、あたしは星野を洗っている。土を落とすにはタワシが一番だろうけど、一応生き物みたいなので、やわらかいタオルで洗った。
「なかなか綺麗になりませんね」
星野が言う。
「タワシがいい?」
「ごめんなさい」
それにしても、星野はおかしなお星さまだ。ちっとも光らない。それどころか、本当にそこら辺の石と変わらない。何といっても顔がある。
シャワーで泡を流し、やわらかいタオルで星野を拭いた。
「あー、さっぱりしました!ありがとうございます!」
「いえいえ」
部屋に運ぶため、あたしは星野を持ち上げた。
「あ!大丈夫ですよ!」
「……何が?」
「ぼく、自分で歩けますから!」
驚いた。そういえば、あたしはまだ星が歩くのを見たことがない。……当たり前か。
そういうことなら、と、あたしは星野を床に置いた。どうやって歩くのだろう。
ヨチヨチヨチ……
ヨチヨチヨチヨチ……
星野は、床についた2本の角を器用に使って歩いた。
なんだか、可愛い。
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