ステージ

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停電でもしたのかなと僕は思う。でもそんなことはありえない。なぜなら今はまだ昼間で、窓からは溢れんばかりの太陽の光がついさっきまでは差し込んでいたからだ。 僕は動揺する。時間が経てば経つほど、それは大きくなっていく。(しかし真っ暗だから、もちろん時間は分からない) 僕は全くといっていいほど身動きせず、ただ前を見据えている。手にしていた本が消えていることに気付く。音楽も消えている。この世界には何も存在しないのだ。あるのはただ僕一人。いや、それさえも危うい。僕は本当に存在しているのか? 何もないから何もしない。何も出来ないから何もしない。ただ時が過ぎるのを待つ。待つ。待ち続ける。 しかしながら、長続きはしない。無が僕の頭を包み込んでしまう。気付いた頃には包み終えてしまう。無は恐怖。僕はこの状況を恐怖しはじめる。
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