ステージ

12/14
前へ
/22ページ
次へ
僕は『呼ぶ』。 「誰か!誰かいないのか」 返事はない。分かっていたことだが。 僕は『叫ぶ』。 「おーい!何だよ、一体どうなってる」 自問自答。周りに変化はない。 さらに時は経つ。呼吸する度にひとつ先へ。考える度にもうひとつ先へ。 本を読みたいと思う。だが、この世界に本はない。音楽を聞きたいと思う。だが、この世界に音楽はない。僕は観客。だが、この世界に僕を満たすべきものは何ひとつとして存在しない。僕は驚愕する。 僕は観客でなくなる。生きる糧を失うのだ。 こうして、僕は全てを失った。目の前では闇がうっすらと笑みを浮かべている。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加