ステージ

13/14
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
僕は『歌う』 「♪……Stage Of The Ground~」 もちろん気付いている。この瞬間、僕は観客ではなくなってしまったのだ。しかし、歌う以外に方法がなかった。寂しくて、寂しくて、どうしようもなかったのだ。だから歌う、僕は歌う。 「……♪」 一曲歌い終えても止めはしない。知っている曲を全て歌う。僕はこれまで何百もの曲を聴き続けてきたため、歌詞は完璧に覚えている。休むことなく、僕は歌う。 詩を書きたいとも思う。絵を描きたいとも思う。しかし、残念ながら道具がなかった。だから僕は歌うことに全てを費やすことにする。 優しく歌う。 場合によっては激しく歌う。 哀しくなったら泣きながらでも歌う。 楽しく歌う。本心から楽しいと思う。 やがて声が枯れてくる。それでも、まだまだ歌う。歌い続ける。 目を閉じてみよう。開いていても周りは闇。だから閉じることにする。ゆっくりとまぶたを閉じる。 そして、合唱コンクールの曲を歌ってみる。 「名付けられた葉」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!