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僕は『歌う』
「♪……Stage Of The Ground~」
もちろん気付いている。この瞬間、僕は観客ではなくなってしまったのだ。しかし、歌う以外に方法がなかった。寂しくて、寂しくて、どうしようもなかったのだ。だから歌う、僕は歌う。
「……♪」
一曲歌い終えても止めはしない。知っている曲を全て歌う。僕はこれまで何百もの曲を聴き続けてきたため、歌詞は完璧に覚えている。休むことなく、僕は歌う。
詩を書きたいとも思う。絵を描きたいとも思う。しかし、残念ながら道具がなかった。だから僕は歌うことに全てを費やすことにする。
優しく歌う。
場合によっては激しく歌う。
哀しくなったら泣きながらでも歌う。
楽しく歌う。本心から楽しいと思う。
やがて声が枯れてくる。それでも、まだまだ歌う。歌い続ける。
目を閉じてみよう。開いていても周りは闇。だから閉じることにする。ゆっくりとまぶたを閉じる。
そして、合唱コンクールの曲を歌ってみる。
「名付けられた葉」
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