バリュー

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私は死を宣告された。 どうやら私の余命は残り一ヵ月らしい。しかもそれが、癌や白血病といった病気の類ではなく、交通事故で死ぬというらしいのだ。学校からの帰り道、トラックに衝突して命を落とすとさ……さすがの私もこれには驚いたよ。 私はもちろん占いが大好きだし、未来を予測出来るだなんてちょっとロマンチックだなと思ったりもする。だからクラスメートのカナエと共に、時々面白半分で、道端で占いやってるお婆さん(占い師といえばお婆さんに限るよね)の元を訪れたりする。でも、今回の占いはちょっとだけ違ってた。つまりお婆さんが、まるで自分の口から吐き出したような水晶玉で占ったんじゃないってこと。なんてったって死を宣告されたくらいだからね。 実を言うと私達はこの前、近頃「よく当たる」と評判の有名な占い師に占ってもらったんだ。「よく当たる」というのはどうやら本当のようで、『彼』は以前テレビにて総理大臣が辞任することを言い当ててみせたことがある(まあ、私も辞任するとは思ってたけどさ)。そのテレビ番組を見ていた私は、何がなんでもこの人に占ってもらわなくちゃと思い、カナエを連れて彼の元を訪れたの。いちおう言っておくけど、彼は今までの占い師のイメージを覆すようなかっこよさだったよ。
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