バリュー

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彼の居場所を知るのはいたって簡単だった。なぜなら、テレビで電話番号と住所がテロップで流れ、「占ってもらいたい方はこちらまでご連絡下さい」とまで言われちゃったからね。待つのが嫌いな私は、すぐさま連絡して予約を入れた。しかも運がいいことに、早くも翌日には占ってもらえることになった。私は誰にもばれないように、ひそかにガッツポーズをしたね。 翌日、私は学校をサボった。「勉強<占い」簡単な理由だ。しかしカナエにまで学校をサボらせたのはちょっと気が引けた。彼女は真面目な子だから。 占い師の住所を知るのは簡単だったけれど、そこに辿り着くのにはかなり苦労した。あいつらは何かと陰気な場所を好む傾向があるから、普段私達が見落とすような場所を住みかにしているんだよ。本来直線であるはずの道を右へ左へ、曲がって下って、行き着く先は裏世界。私達は地下へと足を踏み入れることになった。 何十年も昔なら、地下といえばまるで炭坑みたいな場所だったんだろう。しかし今や二十一世紀、地上では鉄の塊が走ったり飛んだりしている。地下といえど地上と何ら変化はないのだ。 光溢れる道をまっすぐ行くと、すぐにそこへと辿り着いた。 『未来ウオッチャーTAKU』 これはまた素敵な名前じゃないか、と私達は思わず苦笑した。
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