ディスコは閉店

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二十世紀がリピートする あのシャンソン歌手の歌声 (鎮魂歌)   セピア色の東京が うねりながら笑っている 身体中に纏わりついた 埃や黴を払うかのように   げほりげほりと 山中の犬がむせる 指には輝く3カラットのダイヤ 出戻りしたのか 賢い犬だ   下川敷に埋められた死体が 東京タワーを飛び越えた 瞳は血の雨 体はくちた (そんな欲望)   ミラーボールが空を支配して 狂ったように踊り出す老若男女   性もモラルもなにもない 本能的な 野生が踊る それはきっと 原始のリズム 遺骨で柱を叩いていた   (一発目で、砕け散る)     からりとした空だから 私は折り紙の鶴を ふっ と 飛ばす   白い半紙の折り紙は 泣きたい夕暮れに溶けて 全てを沈めていく     (やさしく    やさしく       やさしく)    
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