透明な声

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  酷く濁った空 薄い残像 裸足の君は そこに立ち尽くして   静かな世界だ 君は呟く 小さな溜め息は続き ぎらりと瞳はなにかに脅え まるで猫のようで     ここでよんでいた 誰も知らないたくさんの名前 わたしは知っていたんだ 君の名前を   腐敗したアスファルトに 蹲る未発達の君 寂しい顔をしないで わたしの体を 心臓にして       耳を澄まして 聞いててほしい 優しい鼓動と 君の名前   絶やさないでいてほしい 柔らかな歌と 綺麗な笑み     何度だって 呼ぶよ
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