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当時とは別のドキドキを自覚しながら、便箋を開く。
仕事でトラブったりはしていないが、もしかしたら自分でも気づかぬうちに敵をつくり、それを非難する内容なんじゃないか、もしかしたら彼との関係が露見して、それを中傷する内容なんじゃないかと、何故かネガティブな発想しか思い浮かばなかった。
便箋にはたった一言だけ記されていた。
『3日後』
3日後?
3日後に何があるというのだ?
到着したエレベーターを降り、部屋に向かいながら考えたがまるで見当がつかない。
玄関ドアの前でカバンから手帳を取り出しスケジュールを確認するが、これといった予定はなかった。
手紙と手帳をカバンにしまい込み、代わりにキーを取り出す。
「ただいま」
彼はいつものように、ゲームに興じていた。
彼の作ったチキンカレーを頬張りながら、もしかしたらあの手紙の差出人は彼じゃないかと考えた。
3日後。
誕生日ではない。
クリスマスでもバレンタインでもない。第一、そんな国民的イベントなら忘れることはない。
出逢った記念日?
悪いが覚えてない。でもおそらく彼だって覚えてないだろう。
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