164人が本棚に入れています
本棚に追加
初めて会ったのがいつだったか、君は覚えていなかったようだけど、僕ははっきり覚えてる。
あの頃の僕は自分でも呆れるくらい暴走してた。
毎日学校に通うことも、家に帰ることも我慢できなくて、だからと言ってそこから抜け出す勇気もなくて、みんな大人や世間が悪いと決めつけることくらいしかできなかった。
いつだったか、君に話したことがあったよね?
僕の両親は、僕が小学生の頃離婚して、今の母親が本当の母親ではないこと。五歳下の弟は継母の連れ子で、僕とは血の繋がりがないこと。
全部本当のことだよ。
だからって母親や弟と関係が悪かったわけじゃない。
特に弟は本当の兄のように、僕を慕ってくれていた。
それを素直に幸せだと受け止められない、僕はひねくれたガキだった。
家族がバラバラになったのは、みんな僕のせいなんだ。
中学二年で新しい家族ができて、僕は段々いい子でいるのが嫌になってきた。
それは単に心配してもらいたかっただけなのかもしれない。素直で無邪気な弟への、嫉妬だったのかもしれない。
「お兄ちゃんなんだから」と言われることへの反発。ただそれだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!