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楽な方へ、楽な方へと逃げてばかりいた。
そんなとき、高校二年のクラス替えで、僕と君は同じクラスになったんだ。
君への第一印象は、はっきり言ってかなり悪かった。
だって君は絵に書いたような優等生で、僕はまるきり劣等生で、それこそ住む世界が違うやつなんだと思ってた。
頭がよくて、女受けがよくて、背も高い。
あの頃僕が連んでいたやつらはみんな言ってた。「おれがあいつだったら人生変わってたよな」って。
僕は同意しなかったよ。だって認めたら悔しいだろ?
ひねくれ者だったからね。
君にだってきっと他人には知られたくない欠点があるはずだ。
それを暴いてやったら愉快だろうなって思ってた。
だから僕は密かに君を観察してたんだよ。
知らなかっただろ?
五月の終わりの化学の授業で、君と初めて話をした。
同じグループになって、たまたま隣に座って、答えのわからなかった僕に、君はこっそり答えを教えてくれたんだ。
覚えてないだろ?
僕は忘れてない。
だってあの時の会話で、君の印象が変わったんだ。
今になって考えると、あの時から始まっていたのかもしれない。
僕の片思い。
僕はずっと、君が好きだったんだよ。
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