僕と君 -1-

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楽な方へ、楽な方へと逃げてばかりいた。 そんなとき、高校二年のクラス替えで、僕と君は同じクラスになったんだ。 君への第一印象は、はっきり言ってかなり悪かった。 だって君は絵に書いたような優等生で、僕はまるきり劣等生で、それこそ住む世界が違うやつなんだと思ってた。 頭がよくて、女受けがよくて、背も高い。 あの頃僕が連んでいたやつらはみんな言ってた。「おれがあいつだったら人生変わってたよな」って。 僕は同意しなかったよ。だって認めたら悔しいだろ? ひねくれ者だったからね。 君にだってきっと他人には知られたくない欠点があるはずだ。 それを暴いてやったら愉快だろうなって思ってた。 だから僕は密かに君を観察してたんだよ。 知らなかっただろ? 五月の終わりの化学の授業で、君と初めて話をした。 同じグループになって、たまたま隣に座って、答えのわからなかった僕に、君はこっそり答えを教えてくれたんだ。 覚えてないだろ? 僕は忘れてない。 だってあの時の会話で、君の印象が変わったんだ。 今になって考えると、あの時から始まっていたのかもしれない。 僕の片思い。 僕はずっと、君が好きだったんだよ。
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