僕と君 -1-

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限りなく馬鹿だった。 そんな呼び名さえ当時の僕には栄誉に思えて、他人と深く付き合わないことが格好いい生き方だと信じていた。 在学中、デザインしたゲームキャラが運良く認められて、ゲームソフトメーカーに就職も決まり、自分には運と才能があると自惚れてた。 そんなとき、母から弟のことで連絡があった。 どうやら学校でいじめにあってるらしいと。 弟は君のように真面目な優等生だった。 素直ないいやつだったけど、大人しくて、人を引っ張っていけるタイプじゃない。 ちょうど受験とも重なっていて、いじめる方もストレスが溜まっていたんだと思う。 弟は学校に行かなくなっていた。何とか力になってやれないかと、母は僕に助けを求めてきたんだ。 僕は君のことを思い出した。 君と弟をだぶらせ、君がいじめで登校できなくなった。そんなふうに思ったんだ。 愉快だったよ。 優等生の君が人生の落伍者に。劣等生だった僕が成功者になったようで。 僕は母の頼みを断った。自分で何とかしなくちゃ、この先だってやっていけないだろうと。 恋人も家族も、僕には面倒な存在でしかなかったんだ。 そうしてあの事件が起こった。
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