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蝋燭の火がゆらゆらと辺りを照らした
常に揺らめく影は3つ……いや、3つの影の中央に小さな影が1つ揺れ、さらにその周りを2つの影が回っていた。中央の影は周囲の2つが動くたびに揺らめく。六つの影はそのまま、照らされている人数だった
そして1つの影は言った
「こうするしか彼奴を閉じ込める方法がない……」
また1つの影が言った
「でもそれをしたらこの子の記憶は無くなってしまうのよ? この子が力を制御できたら事はそれで終わるじゃない!」
最初の影は言い返す
「奴の力は知っているだろう? 今のこの子には無理だ! 逆に体を乗っ取られてしまう」
しばらくの時間、一歩も譲らぬ2人の口論は続いた
それをしばし静観していた最後の影は、ゆっくりと口を開く
「今はこの方法しか道はない……だが未来なら道はある……かな」
その言葉に、二つの影は動きを止めた
最初の影は言った
「どういう事だ?」
最後の影はその問いに答える
「今から儀式をすればこの子の記憶は確かに消える。正確には封印されるのだがね……だがしなければこの子は彼奴に乗っ取られてしまう……」
二番目の影はもったいぶった口調に苛立ち、声を張り上げた
「だから要点を言いなさい!」
「つまり、未来……大きくなったら、力の制御を私が経営している学園で教えるから、今は彼奴を封印すると言う意味だよ」
二番目の影は言った
「貴方も彼と同じ意見なの?」
その問いかけに、最後の影はゆっくりと語る
「貴方はこの子が記憶を失うことを拒否している。彼は彼奴を封印する事を選んだ……ならばこの子が大きくなり力を制御し、なおかつ今の記憶を蘇らすには未来で力を制御するしかない」
影は続ける
「今は彼の封印の意見を尊重し、未来では力を制御できるようになったこの子は記憶を取り戻す……そのために私の学園に入れる。それがこの子の為、世界のためだよ」
影は少し笑っていた
「確かに君が教えるのなら安心はできるが……彼奴が封印を解くかもしれないんだぞ?」と最初の影は言う
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