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「(あぁ?何だよ)」
「(衛……転校初日に能力使ったでしょ?)」
「(あ?あ~……使った…っけな?)」
転校初日に俺に足を引っかけようとしたやつがいたな。確かに能力で驚かしてやったな。
「(上にばらすよ?)」
紅蓮はまるで俺の弱味を握って勝った気になっていやがる。
「(そうか。なら俺も、紅蓮が護衛対象から離れる際に監視をつけるのを怠った事を焦蓮さんに報告するかな)」
「(げ)」
紅蓮は、一気に顔から血の気が引き顔面蒼白になる。
「(どうする?)」
俺は不適な笑みを浮かべながら紅蓮を見る。
「(う~、あんた、いつの間にそんなに口がうまくなったのよ~)」
紅蓮が恨めしそうな目で睨んでくる。
「(仕事の都合上)」
そう言って話を切り上げた。すると何やら背後で物凄い殺気が充満してた。何となく嫌な予感がしたが、とりあえず後を振り返る。
「く~ろ~が~ね~~!!」
クラスの男子生徒全員が怒りと憎しみの込もった目で睨んでくる。
「え?何?」
嗚呼、何でこんな台詞を吐いたんだか。この台詞が相手の神経を逆撫でするものだと気付かなかった己の落ち度だこれは。
「殺す!!そこへなおれぇ!!」
男子生徒全員のハモリで殺人予告。相手がただの人間なら返り打ちに出来るが、相手が全員能力者だと分かった今不用意に戦うのは危険だ。ここで己の今とるべき行動は……脱兎だ!!
「待てやこらぁ~!!」
男子生徒全員は、逃げた衛を追い掛けて廊下に出る。しかし姿を見失ったのか、全員バラハラに行動している。
「相変わらず煩いなぁ。何なんだろうね、うちのクラスの男子は」
溜め息をつきながら廊下を見る青く短い髪の女子。
「まぁまぁ霙。黒鋼くん、大丈夫かな?」
絢音は心配そうにしている。
「あっはっは、大丈夫大丈夫。衛ならこのくらいのことで捕まらないから」
紅蓮は笑いながら絢音の心配を吹き飛ばす。
「そうなのですか?」
「そうそう、心配するだけ無駄ってやつ。ねぇ?衛」
「まあな。あんなやつら、逃げ切るのは簡単だ」
「って、いつの間に!?」
絢音と霙はびっくりして倒れそうになる。
「あんた、廊下に出たんじゃないの?」
霙が衛を指差して、廊下を指差して言う。
「出たよ。そしてあいつらが出たあとに入った」
かなりあっさりと言う衛。
「へぇ~、凄いね君」
霙は感心しながら、衛の体を上から下まで眺める。
「…………ところで、あんただれ?」
衛は霙を指差して言った。
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