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「改めまして、俺の名前は黒鋼衛。よろしく」
衛がお辞儀をする。
「はい、こちらこそ」
絢音もお辞儀をし返す。
「や、これはご丁寧にどうも」
霙は頭を掻きながら頭を下げる。
「では、次は私の番ですね。始めまして。私の名前は綾瀬川絢音と言います。よろしくお願いします」
絢音は両手の指を揃えて行儀よくお辞儀をする。
「あ、どうも」
衛もつられてお辞儀をする。
「んじゃ、次は私だね。私の名前は雨那霙。よろしくな、衛!」
霙は衛の背中を叩きながら、自己紹介をする。
「何故いきなり名前で呼ぶ……しかもかなり元気な人だなぁ」
衛の呟きは、誰にも聞こえていなかった。
「次は雫の番よ。ほら、早く!」
「いや、でも、私は……」
「ホラホラ、早くしなさいっ!」
霙は雫の背中を押して、衛の前まで連れてきた。
「あ……いや。は、始めまして、雨那雫……………です」
雫は伏し目がちに自己紹介をする。
「どうも」
お辞儀をする衛。
「~~~~…………」
「……………」
「~~~~……………」
「………………(間がもたねぇ………)」
雫はうつむいたまま動かない。衛はどうしたらいいか分からず、ただ慌てるだけだった。
「さて!自己紹介も済んだし!衛、今日の放課空いてる!?」
霙が身を乗り出して尋ねてくる。
「いや……まだ部屋が片付いてないから……片付けないと………」
「そんなんあとでいいじゃん!!今日は転入生歓迎会だ!勿論絢音も来るよね!?」
「私はいいけど……霙、あなた部活はどうするの?」
「今日は早めに帰れば良いだけだよ。雫も来るよね!?」
霙は雫の方を向いて尋ねる。
「私はい………」
「決定!!んじゃ、放課に!」
「まだ私言ってないんだけど!」
霙と雫が言い合っている。
「いや……だけど、俺………」
「いいじゃん衛!行こうよ!」
紅蓮が肩に捕まってくる。
「え~~めんどいから嫌なんだけど………」
衛は渋る。どうやらそれが本音の様だ。
「俺達も行きます!!」
そこに、クラスの男子が皆集まって立っている。
「またむさいのが………」
衛は頭を押さえる。
「綾瀬川様や焔様が行くのだ!!ファンクラブが行かんでどうする!!」
白と朱のはちまきをしている集団。そのどちらもが火花を散らして睨み合っている。まさに一触即発だ。
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