†中絶…†

7/19
前へ
/369ページ
次へ
      その後も、体重測定や聴診器、胸のしこりの有無などの診察が行われた。       その度に少しずつ増えていくカルテの記入をちらちら見るけど、何を書いてるのかはわからない…当たり前か。           「…朱槻さん、念のために少し検査しましょうか」       「検査…ですか?」       もしかして、何かわかったの?…       「あの…娘は何か悪い病気なんですか?」         「いえ、そんな大袈裟なことではなくて、軽度の子宮内での炎症やホルモン以上などの可能性もあるので、そのための検査ですからそういうわけではありません」         「そうですか…良かった…」       それを聞いてお母さんはホッと胸をなでおろす。       「それでは案内の看護婦を出しますので、朱槻さんは先に出てついていってください」           「…わかりました…あの、お母さんは…」         「あ、じゃあお母さんも一緒に…」       「検査自体は簡単なものですから、お母さまはこちらに待機していてください」             お母さんの言葉を遮るように九条先生が強い口調で言った。         先生にそう言われてしまえば、もう引くしかない。     仕方なく、そのまま案内の看護婦に支えられるようにして検査に向かった      
/369ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1338人が本棚に入れています
本棚に追加