1338人が本棚に入れています
本棚に追加
出来ることなら、このまま泊まっていきたかった。
でも明日は学校、それは叶わない。
名残惜しいけど手を繋いで帰って…でも離れたくなくて、帰り道で何度もキスした。
信号で立ち止まる度、何もないところでもわざと立ち止まっては温かく柔らかい雄弥の唇が触れ合う。
普段ならば徒歩20分くらいで着く帰り道も、今日は一時間を要する。
でも、私からすればそれも早すぎた。
何分でも、何時間でもそのままでいたかった。
「じゃあまた明日、学校でな」
「うん…」
「そんな泣きそうな顔するなって…」
雄弥はそう言って頭を撫でてくれる。
そして私の手をとると、指にそっと指輪をはめてくれたんだ。
小ぶりではあるけど、多分ダイヤ…
一瞬、何がなんだかわからなかった。
私は口を開けたままだったと思う。
「ごめんな、めっちゃ安物だけど…今はまだ無理だけど、卒業したら絶対結婚しような、約束」
「え…?」
その言葉を聞いて、やっとどういうことか理解できた。
「婚約指輪…ってこと?」
私がそう聞くと、雄弥は目を伏せて恥ずかしそうに頷いていた。
予想もしなかった雄弥の告白があまりに嬉しすぎて、勝手に流れ出る涙が止まらなくて…
ずっと泣く私を雄弥は抱きしめてくれてた。
世間の目からすれば幼稚なものに見えたかもしれない。
だけど私はそれだけで幸せだったんだ。
眩しすぎるほどに満ち足りていた日々
でも、異変はその2ヶ月後に始まった。
最初のコメントを投稿しよう!