270人が本棚に入れています
本棚に追加
せっかく処刑を中止にできたのに。今、騒ぎになったら、また大変な事になる。
それだけは、避けなきゃダメだ!
「…じ、自分は先程、そこの男が、何も無い所から火を出したのを見ました!」
うぅ、見知らぬ兵士め、余計なコトを~っ!
「そっちの奴は、黒い光を手から出してました!」
他の兵士たちも、自分も見たと、口々に言う。
「まさか…さっき言ってた、ヨウマなんたら…とかいうヤツの力か?手品じゃなく?」
兵士長らしき人(ヒゲの偉そうなおじさん)が、半信半疑な表情で近付こうとした。
夕羅の言った妖魔人の話を信じてないみたい……ほとんどの人がそうだろうけど。
…それなら、ごまかせるかも。
あたしは、慌てて言った。
「そう!手品!手品です!!…ねっ、架那っ」
架那に目配せすると、一瞬、きょとんとした顔になったが、
「あ、……そ、そう!手品!だ、大道芸の練習してたんですぅ、私達ぃ!」
うまく話をフォローしてくれた。
「大道芸人?…こんな所で練習するな!他でやってくれ!」
「あはは、すみません、すぐ退散しますね~」
最初のコメントを投稿しよう!