第6章 君色に染まる革命

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 あたしは耳を(かたむ)ける民衆の間を進む。 『…昔々、この世界には人間と妖魔人という種族が、仲良く共存していました』  (みんな)、少しざわめいたが、すぐ夕羅の話に集中しだした。  彼の凛とした声に、不思議と誰もが呑み込まれてゆく。  国王も兵士も……架那たちでさえも同じで、動けずにいた。 『しかし、ある時。自分たちとは違う能力を持つ妖魔人を、人間は忌み嫌う様になりました…』  ……いつか、彼があたしにも聞かせてくれた話。人間たちが、忘れてる昔の出来事…。 『人間から棲みかを追われた妖魔人たち。…長い、長い間、彼らの多くは人間を憎んだ……でも、時間は経ち、時代は変わる』  足がもつれて転びそうになるが、どうにか(こら)える。  あたしは観覧席の最前列まで、やっと辿(たど)り着き、一旦、息を整えた。
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