第6章 君色に染まる革命

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『俺は、夕羅・グリンヴァルド…人間の(むすめ)に惚れた、妖魔人の王子だ。』  そこで、我にかえったのか、国王が夕羅の話を()めさせようとした……ところを、何故(なぜ)か里乎が制した。 「リ、里乎しゃん…??」 「…彰円様、最後まで聞きましょう」 『王子の俺が、自分が好きになった人の国の王に、危害を加えたりしない!…だから、俺は無実だ!……以上。』  あたしはカツラを投げ捨てた。  観覧席を乗り越え、一気に駆ける……自分で言うのもなんだけど、風の如く。  唖然とする広場の兵士の脇をすり抜け。彼に向かって、真っ直ぐに、駆けた。 『あ…。あと、ひと(こと)…』  …夕羅は思い切り、息を吸い込むと、あたしに向けて叫んだ。 『俺は、綺流兎が好きだーっ!誰よりもいちばん好きだーーーっっ!!』  ……夕羅の足下で、拡声器を(かか)げてた兵士は、大音量に腰を抜かしてしまった様だ…(よくずっと拡声器持っててくれたよね…)。 「……夕羅」  槍を持った兵士たちを無視し、あたしはズンズンと夕羅に歩み寄る。 「ま、待て、女!」 「お…お前の髪、手配書の…?」  槍兵を睨むと、あたしの迫力に呑まれた彼らは、つい、距離をあけた。 「あの…綺流兎、ちゃん?」  夕羅もあたしの様子に、少しビクビクしてる。  ……ガシッと拡声器を拾い、あたしは言った。
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