第6章 君色に染まる革命

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『夕羅っ、何勝手に身代わりんなって!捕まって!処刑されようとしてんの!?』 「え、イヤ、…あはは」 『笑って誤魔化すな!』 「…ハイ。」  あたしの勢いは止まらない。 『おまけにさっきの告白!ムードも何もあったもんじゃない!あーいうのは、ふたりっきりの時にしてよっ!』 「あ…ハイ、すみません…」 『わかればよろしい。』  素直に謝る彼に、一人納得したあたしは、今度は国王の方へ向く。 『国王様!手配書の人物って、本当はあたしでしょ!違う!?』 『あ…ぅ…、そ、そうじゃ!…そちを余の、愛人1号に…』 「………彰円様?愛人って!?…1号って…、2号や3号もいるんですの!!?」  国王の横で、里乎の目が光った、…気がした。 『あばばばっ…ち、違う!誤解じゃっ!』  …何かモメてる様だが、知ったこっちゃない。  あたしは、観覧席を見渡す。 『聞いての通り、この人は無実よ!処刑は中止!!……異議ある人!?』  シーン…と静まり返る。  そして、  パチパチと拍手が聴こえてきた。……架那と蒼大くんだった。  それから、拍手の大洪水と歓声が、コロシアムに沸き起こる。  ――気付くと、観客のほとんどの髪が、キャラメル色に変化していた。 「…今頃、効果出てきたワケ?」 「え、何の話?」 「後で話すよ……」  深い溜め息のあたしは、すでに武器を地面に置いた槍兵(やりへい)たちに、夕羅の縄を()くのを手伝って貰う。  自分たちの君主が情けないのか、バツが悪そうに見える。  …彼らも処刑なんかやりたくなかったのかもしれなかった……。
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