第7章 長い一日の終わりと始まり

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「…綺流兎(キルト)ちゃん!」  無事、解放された夕羅(ユラ)。  有無を言わさず、あたしを力強く抱きしめた。  いつもなら慌てまくるのに、無抵抗になってしまった。  …処刑が中止になって、緊張の糸が切れたせい?……いや、違う。  ぎゅうっ…と、あたしも彼の背に手を回し、抱きしめ合う。 「…綺流兎ちゃん…心配、した…?」 「あ…当たり前でしょ!ばか…っ」  ――…温もりの中、夕羅の鼓動が聴こえて。  ……そこでやっと、今まで抑えていた涙が溢れてきた。 「……本当に…死んじゃうかと思っ……」 「うん…、ごめん……」 「……っ」  泣きながら、彼を見上げる。  涙で、ぐしゃぐしゃ顔のあたしを、優しく見つめてくれてて。 「綺流兎……」  まばたきと同じ、一瞬。  彼の唇があたしの唇に、……軽く触れ、…離れた。
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