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「ちょっと、何すんの!……?」
…夕羅の表情が険しい。
彼の視線は、処刑台の後片付けをしてた、一人の兵士に向けられていた。その兵士は怯え顔で、後ずさる。
「?…な、なんですか、一体……」
……この人…。
「綺流兎ちゃん、下がってて。こいつは」
夕羅が言い終わる前に、あたしは一歩踏み出していた。
「…!?」
その突然の行動を、兵士は予想してなかった様だ。
「覚悟…っ!」
ぐい~ん☆
あたしは、兵士の両耳を力の限り引っ張った。
「い…痛っ…!!」
兵士の顔が歪む。
その途端、ザァァーっ…と、彼の頭のてっぺんから足の爪先まで、木の葉が剥がれ落ちてゆく。
…そうして。
兵士に化けていた男の姿が、あらわになった。
――金色の切長な目と少し長めの髪。
濃紺の着物(どっかの民族衣装みたいだ)を身に纏って。…夕羅よりやや長身の男だった。
整った顔立ちだが、冷たい印象を受ける。
「……あんたが、火鷹ね」
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