第7章 長い一日の終わりと始まり

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 あたしは作り笑顔で、夕羅を立ち上がらせようとする。 「…夕羅、動ける?逃げるなら一緒だからね」  小声で言ったのに、奴――火鷹には、聞こえたらしい。 「……誰が逃がすか。夕羅、僕がお前を骨まで燃やし尽くして…灰にしてやる!」  氷の様に青白い炎。  それが、無数の火の玉になり、こっちに向かって来たのが見える。  ……頭で考えるより、体が勝手に動いて。  ――あたしは、夕羅の前に飛び出してた。  架那や蒼大くんの叫び声が聞こえ、  火鷹の目が、大きく見開かれたのを見て、  あとは、  ……夕羅の声がして、 「綺流兎!!」  次の瞬間。  あたしの体は、青白い炎に包まれた――…。
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