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架那は、あたしが火鷹の炎を受けた後の事を、教えてくれた。
あの後……。
ボロボロに焼け焦げたあたし(実際は服が焦げた程度)を見た夕羅は、我を失った。
眠ってた妖力が溢れ出し、コントロールが利かなくなって…。
「あのままだったら、国一つ吹っ飛ぶところよ……」
大袈裟な表現かもしれないけど、あれでも夕羅様はいずれ、妖魔人の王になる者。
計り知れない妖力の持ち主なのよ、……と架那は言葉を続けた。
そっか…、今更だけど、夕羅は妖魔人の王子なんだよね。
そう……人間とは…あたしとは、違うんだ。
…それって……、
――ずっと離れない夕羅の手の温もりを感じながら、頭に浮かびそうになった考えを打ち消す。
「…きーちゃんが、暴走しそうになった王子を止めたんだよ」
え?あたし?
目をパチクリさせてると、架那が苦笑いで言った。
「その様子は、覚えてないわねぇ?綺流兎ってば、気絶しかけてる中、夕羅様に『戦っちゃダメ』って…」
「や、記憶に無い、……すっぽり。」
本当に覚えてないんですケド。あたしのそんな一言だけで、夕羅を止められたんだ……?
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