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「…それで、あのヒト…火鷹はどうしたの?」
あたしの質問に、蒼大くんが答えた。
「うん…兄ちゃんは、きーちゃんが倒れた後、すぐ姿を消しちゃったんだ。……ごめん」
「蒼大く…」
「ごめんなさい…っ、きーちゃん…」
泣き腫らした目で、謝るのが痛々しくて。
「……もう!謝らなくていいって言ったの、忘れた?」
「だ、だけどっ」
「蒼大くんと火鷹は、兄弟であっても、それぞれ考え方も行動も違うでしょっ。だから自分の責任にしない!わかった!?」
あたしが少し怒ったフリをして、蒼大くんを見つめる。
「…………。(こくん)」
しばらくして、やっと頷いてくれた。
その時、ドアをノックする音がして。遠慮がちに現れたのは、里乎さんだった。
「……あの…、少しだけよろしいですか?」
気を遣ってか、架那と蒼大くんは別室へ移る。
起きる気配のない夕羅はそのままにして、あたしは彼女と話をした。
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