第7章 長い一日の終わりと始まり

12/15
前へ
/110ページ
次へ
「…それで、あのヒト…火鷹はどうしたの?」  あたしの質問に、蒼大くんが答えた。 「うん…兄ちゃんは、きーちゃんが倒れた後、すぐ姿を消しちゃったんだ。……ごめん」 「蒼大く…」 「ごめんなさい…っ、きーちゃん…」  泣き腫らした目で、謝るのが痛々しくて。 「……もう!謝らなくていいって言ったの、忘れた?」 「だ、だけどっ」 「蒼大くんと火鷹は、兄弟であっても、それぞれ考え方も行動も違うでしょっ。だから自分の責任にしない!わかった!?」  あたしが少し怒ったフリをして、蒼大くんを見つめる。 「…………。(こくん)」  しばらくして、やっと頷いてくれた。  その時、ドアをノックする音がして。遠慮がちに現れたのは、里乎さんだった。 「……あの…、少しだけよろしいですか?」  気を(つか)ってか、架那と蒼大くんは別室へ移る。  起きる気配のない夕羅はそのままにして、あたしは彼女と話をした。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加