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最終章 あなたと二人で…
あたしは多分、方向音痴だ。
たくさん迷って、
さんざん歩き疲れ、
出口の見えない、迷路の壁に寄り掛かり、泣きそうになる。
あたし一人なら、きっと諦めて、その場から動けないだろう。
だけど、
手を引いてくれる人がいて。
その人は迷路の壁さえも、蹴り破って真っ直ぐ進んでしまうんだ。
……メチャクチャだけど。一緒にいるだけで、自分も強くなれる気がして。
最後には、あたしも壁を思い切り蹴っ飛ばして、二人で笑う。
――…そんな夢をみた朝。
窓を開けると、清々しい風が吹き、キャラメル色の髪をなびかせた。
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