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「綺流兎、準備できたぁ?」
ドア越しから、声が聞こえた。
「まだちょっと…かかりそう」
「みんな待ってるから、早くしなさいねぇ」
「はぁい…。」
部屋着姿のあたしは、ベッドの上に広げた、ドレスとにらめっこしていた。
昨日のうちに、架那が用意してくれたのだが…。
いつもの格好もそうだけど…何でこう、フリフリ~☆フワァ~っ(?)としたのばっかりなんだ。
架那はあたしを、着せ替え人形として楽しんでる節がある。……用意して貰ってる身で、直接文句は言えないが。
「…あたしには、似合わないんじゃない?」
独り言を言いつつ、モソモソと服を脱ぎ始める。
……今日はここ、妖魔人の館でパーティーがあるのだ。
あたしを夕羅や架那の友人たち(もちろん人間に理解ある妖魔人たち)に、紹介する為だった。
簡単な親睦会みたいなモノだと思ってたのに。
架那が異様に張り切って、招待状出したり、豪華料理やドレスの準備……。
…絶対これは、『婚約お披露目パーティー』のつもりなんだ。
元々お祝い事が好きな性格らしい架那の策略だ!陰謀だ!
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