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『あっ、雨だぁ~。
制服が濡れちゃうょ。健太!傘持ってないの~?』
『持ってな~い』
僕は
冷たい夏の雨に打たれて
校舎まで由香里とダッシュした。
雨も止みグラウンドに戻ると
透き通った青い空に
七色の虹が光って見えた。
僕ら2人は
その光が消えるまで
…ずっと見ていた。
由香里が
黙っているのは、かなり珍しい。
学校で1、2を争うおもしろい娘で、
先生のモノマネをしては皆を笑わせているような子だ。
僕は、また空を見上げた。
僕達は
今年の夏でサッカー部から引退する。
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