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後半の授業をぼんやりとすごしていると、
私は、いつしか舞子の事を考えていた。
その後、授業も終わり、帰りの支度を始めた。
私にあの緩い声が話しかける。
「め~いちゃん一緒に帰ろう」
嬉しそうに笑顔で言う舞子に、断るに断れず、無言で頷いた。
かくしていつもの帰り道を舞子と二人で帰り、私は家路に着いた。
「ただいまー」
言って見るものの、返事が返ってくる事はなかった。
母親は長期出張で家には戻らず、定期的にお金を降り込み、それを私が引き出すと家賃やら何やら払う訳だ……
最初は早めの一人暮らし、煩い母親がいなくて清々だと思っていた生活も、いざ続けてみると少し物足りなかった。
毎日一人で食事をして、誰もいないこの家に帰ってくる。
そんな生活に嫌気がさしていたのか
決まって頭の中には、舞子の明るい笑顔がうかんだ。
……あの一片の憂いも無い笑顔が恋しかった。
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