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ジャックはコムの事務所の自分のデスクの上で、その仮報告書を読んだ。
ラサディーンの行方は知れずか……。おそらく直前に直属軍の蜂起を予測したかなんかで、亡命でもしたんだろうな。
ジャックは一瞬だけ短絡的に考えた。しかし、すぐに前日に抱いた疑問を思い出した。
なぜ、コムでも予測不可能だったものをラサディーンが知りうるんだ?、と。
「なあ、ブライアン。ラサディーンはおそらく亡命していると思うんだが、どうしてこの軍の蜂起を予測出来たと思うかい?」
ジャックは報告書を手渡してきたブライアンに尋ねた。
「どうでしょうね。実は巨大な利権をもくろむ大企業が裏で操作してるとか……。ないですよね。だいたい、こんな混乱はむしろ必要ありませんね、企業にとって」
ブライアンは窓から、国連ビルの横を流れるイースト川の方を眺めながら、少しふざけた口調でいった。
「私もそんなことは無いと思うよ」
と、ジャックも同調した。
すると、給湯室で自分のコーヒーを沸かしていた、コムの情報官であるアシェリー・フラットリーがやって来た。
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