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ニューヨークは眠らない都市と言われるが、まさにその通りだ。地下鉄が二十四時間営業であるというのも有名である。
ジャック・グランドもそんな眠らない都市を恨みつつも、自分の職務に誇りを持ちながら朝の爽やかな風で眠気を紛らわしていた。
マンハッタンの東岸を流れるイースト川のほとりにそびえ立つ国連ビルの、すぐ近くの公園は彼の密かな楽園だ。
楽園といっても、何か特別なものがあるわけではない。ただ、小鳥のさえずりが聞こえるだけである。だが、ジャックにとってはそれが心の緊張を解きほぐす良い薬になっていた。
しかし、安らぎというのは突然破られる。
ジャックの仕事用の携帯が嫌な電子音を響かせた。
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