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どれだけの月日が経ったのだろう
俺が【天使の柱考察】をなくしてしまったあの日から
結局、本は見付からず、学校も休みに入ったので、今日はリクと街にくりだすことにした
――…の、だが………
「遅いな…」
昼飯を買ってくる、と言って走り去った親友は30分近く待っても戻ってこなかった
「どこまで買いに行ったんだか」
正直、昼飯なんて俺にはどうでもよかったりする
適当な店で安く、美味そうなものを買えばいいのだ。そうすれば早く済むものを
溜め息を吐いていると、視界の端に何かフリフリとしたものがうつる
何だろうか、と目をやると、俗にいうロリータ少女というものが歩いていた
ヘッドドレスもシャツもスカートもレースが惜しげもなく使われていて、足元にはヒールの高い厚底の靴
外見から察するにまだ13か14歳くらいだろう
まだ履きなれていないのか、足元がおぼつかない
(危なっかしいな……)
そう思いながら何度目かの欠伸をしたとき、小さな悲鳴と共に何か金属の絡まったものが地面に転がった音がした
気になり、再び視線を少女に向けると、見事に転んでおり(やはり彼女のような子どもにあのような靴は早すぎたようだ)、少女の周りには大小、装飾も様々なクロスが大量に散っていた
「……大丈夫?」
とりあえず手を差し出して少女を立たせようとするが、少女は立つ気配を見せない
足を怪我して立てないのか、と思っていると、―――違った
必死で散らばったクロスをかき集めているのだ
仕方なく、俺もしゃがみこみ、クロスを拾ってやる
―――違和感が、あった…
どのクロスを見ても必ず、同じ模様が一つは混じっている
そして、おれはソレに見覚えがあったのだ
「これって…――」
どこかで見たような…
そう思っていると、突然俺の手にしていたクロスが引ったくられた
「あ、ありがとうございましたっ」
少女は恐る恐る、といった感じで俺に礼を述べるとすぐに立ち上がり、俺が呆然としている間にいなくなってしまった
大量のクロス
決められて掘られていた模様
少女の行動
不思議な違和感
パズルのピースがはまりそうではまらない
そんなもどかしさを覚えていた
リクは、まだだろうか
このまま一人でいると、思考の巡らせすぎでおかしくなってしまいそうだ
その時、背後の影がぐにゃりと動いた
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