第1章 悪夢といざない

7/8
前へ
/234ページ
次へ
血の匂い 目の前に鋭くひかる刃物 自分の右肩には銃弾で出来た穴があり、そこから血が止めどもなく流れている。 「どっちを選ぶ……」 目の前にいる男が少女の首に刃物を当てながら聴く。 [ダメだ!!] 目の前で、男に向かって少女は懇願する。 「兄さんを助けて…………」 [ダメだ…………ダメだ……やめろ!!] 男はニヤリと笑い、………………こちらに笑んだ顔を向け言い放つ。 「良い妹じゃねぇかよ。小僧!嬢ちゃんに感謝しなぁ!!ヒャッハッハァーー!!」 その男は 高笑いしながら 妹 ー麻由ー の首に当てた刃物で その首を斬りつけた 目の前で起こった事が信じられず 信じたくない だが、目の前にある 「ひゃははははーっ!!」 高笑いが響く 倒れた少女から大量の血が流れる [いやだ!] [イヤだ!] [嫌だ!] 「ーーーーーーーっ!!」 凄い勢いで上半身を起こしながら、目が覚める 「ハァ……ハァ………ハァ………」 [……………また……あの夢……か] と 「憂君!?」 部屋の扉を勢いよく開けて、このみが飛び出してくる。 「ハァ………ハァ………………このみ……?」 呼吸を整える 「えっと…、どうかした?」 すると、このみは少し怒った顔で 「どうかした?じゃないよ!もう………あんな大きな悲鳴みたいな声あげるから、心配したんだよ?」 と言う。 どうやら、叫んだのは夢の中では無く、現実の方でだったようだ。 「あ………、えっと……ごめん。…………何でも……無いよ。」 すると、このみはこちらに近づいて、指で憂貴の目もとを拭う 泣いていたのだ 「……大丈夫?」 このみが聴いてくる 「………あの時の夢……だったんだね。」 「………………うん」 忘れられる訳が無い 今でも自分を苦しめ続ける悪夢 忘れられる事なんて出来ない
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

286人が本棚に入れています
本棚に追加