286人が本棚に入れています
本棚に追加
血の匂い
目の前に鋭くひかる刃物
自分の右肩には銃弾で出来た穴があり、そこから血が止めどもなく流れている。
「どっちを選ぶ……」
目の前にいる男が少女の首に刃物を当てながら聴く。
[ダメだ!!]
目の前で、男に向かって少女は懇願する。
「兄さんを助けて…………」
[ダメだ…………ダメだ……やめろ!!]
男はニヤリと笑い、………………こちらに笑んだ顔を向け言い放つ。
「良い妹じゃねぇかよ。小僧!嬢ちゃんに感謝しなぁ!!ヒャッハッハァーー!!」
その男は
高笑いしながら
妹 ー麻由ー の首に当てた刃物で
その首を斬りつけた
目の前で起こった事が信じられず
信じたくない
だが、目の前にある
「ひゃははははーっ!!」
高笑いが響く
倒れた少女から大量の血が流れる
[いやだ!]
[イヤだ!]
[嫌だ!]
「ーーーーーーーっ!!」
凄い勢いで上半身を起こしながら、目が覚める
「ハァ……ハァ………ハァ………」
[……………また……あの夢……か]
と
「憂君!?」
部屋の扉を勢いよく開けて、このみが飛び出してくる。
「ハァ………ハァ………………このみ……?」
呼吸を整える
「えっと…、どうかした?」
すると、このみは少し怒った顔で
「どうかした?じゃないよ!もう………あんな大きな悲鳴みたいな声あげるから、心配したんだよ?」
と言う。
どうやら、叫んだのは夢の中では無く、現実の方でだったようだ。
「あ………、えっと……ごめん。…………何でも……無いよ。」
すると、このみはこちらに近づいて、指で憂貴の目もとを拭う
泣いていたのだ
「……大丈夫?」
このみが聴いてくる
「………あの時の夢……だったんだね。」
「………………うん」
忘れられる訳が無い
今でも自分を苦しめ続ける悪夢
忘れられる事なんて出来ない
最初のコメントを投稿しよう!