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大きな廊下の窓からは日差しが差し込んでいる。
墓参りから戻った政士が国王に会ったのはそんな暖かな空気の中だった。
「国王陛下、おはようございます」
「父親の墓参りへ行っていたようだな」
政士は足を止め国王に一礼し横を通りすぎる。後ろから国王の声が響いた。
「お前は、父親によく似ている」
振り返ると、国王からは悔しさが感じ取れた。
「その碧眼、その眼差し。全てがお前の父親を思い出させる」
「腹立たしい、ですか?」
国王は何も答えない。
「あなたにしてみれば、俺を恨むべき男の息子として見ていると感じます」
政士の目が国王から逸らされる。
「私は、あの事件に関して恨みなど感じてはいない。あの事件のおかげで、『あの子』が産まれたのだから」
それを聞いた政士が国王に向き直り口を開いた。
「彼女の存在を、認めるのですか?」
その問いに、国王は表情を変えることなく答えた。
「既に認めている。あの子は立派な後継者として育ってくれた」
17年前──騎士として命じられた年、政士の父は処刑された。
政士の知らない所で。
それは政士が14歳の時、母親から告げられた。
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