第二章

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《1》   18年前──茱梨は王家の第一子としてこの世に生を受けた。   当時中々子供の産まれない王家に漸く産まれた子供は、茶髪に蒼い瞳を持っていた──。     謁見の間。 多数の兵士が見守る中、2歳の政士は辺りを見回しながら指を口にくわえ王の目の前に立っていた。   国王が喋り始める。   「桐生政士──騎士制度に基づきそなたを筺宮茱梨の騎士と命ず」   「?」   2歳の政士は状況を把握出来ないのか、はたまた理解しようとしていないのか。 その場に立ったまま口を開こうとしない。   「桐生政士、いい加減にしなさい」   上級兵の一人が政士に寄った。しかし国王が手を前に出しそれを阻止する。   「無理もない。僅か2歳の子供なのだから」   「申し訳ございません」   政士の母──愛藍(あい)が政士の元に寄り無理矢理頭を下げさせた。 結局任命式は政士が一言も喋らないまま幕を閉じる。     互いに幼く未だ話せる程でもなかった為、彼らが成長するまで暫く待つこととなった。
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