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空気の分からない茱梨は、未だに大人しく座っている政士に構ってほしいらしく落ち着かない。
「茱梨、お辞めなさい」
「ぶ~」
茱梨は口をタコ型に突き出しひねくれる。
政士は初めて会う姫のそんな様子を見つつも、座り続けるのが慣れていないのかしきりに動いてはジュースを飲む。
「しゅりもほしい!」
政士が飲んでいるのを見て、茱梨は母親の服の袖を引っ張りながらそう言った。
王女がテーブルの上にあるオレンジジュースを持ち彼女に渡す。
「政士君は涼にそっくりなのね」
ジュースを飲む娘の頭を撫でながら王女が言い、政士をじっと見る。
「侑が私に似ているので、政士は涼さんに似てもらわないと」
愛藍が落ち着いた笑みを浮かべた。
暫くして女王が子供達の様子を見ながら口を開いた。
「少しの間、茱梨と政士君を遊ばせてはどうかしら?」
「よろしいのですか?」
「いずれ政士君には茱梨を任せることになるのです。それに、茱梨は政士君のことが気になるようですし」
愛藍が「茱梨姫様と遊んでらっしゃい」と頭を撫でると、政士は椅子から降り頷いた。
茱梨が嬉しそうに政士の元に寄っていった。
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