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《2》
「おんぶ!!」
茱梨が言う。
政士は何とか抱えようと背に乗せるが、運べる訳もなく前に倒れこんだ。
「もうっよわいわよぉっ!!」
「しゅり姫がおもすぎるんだよっ!」
わいわい騒いでいる声が母親たちにも聞こえ、愛藍は敬語を使わない政士にひやひやしつつ王女に頭を下げる。
「申し訳ございません…不束かな息子で…」
「いいのですよ」
王女は微笑みながら子供たちの様子を見ていた。
「つかしゃはお家になにしに来たの~?」
「君のおかあさんによばれて来たんだよ」
「ふ~ん。つかしゃのきしはどんなひと?」
茱梨は未だ全員に騎士がいるという認識でいた。不意に聞かれた政士は「え?」と聞き返す。
「だからぁ、きし!!」
「しゅり姫、きしは『王子さま』か『お姫さま』にしかいないんだよ~!」
政士は彼女の騎士であると教えられていなかった。
まさかこんな早く対面することになるとは思っていなかったから。
同様に茱梨にも、誰が騎士であるか知らされていない。
「じゃぁ、しゅり、きしとけっこんする!!」
「…」
王女の顔から一瞬笑みが消えた。
「…政士君も、あの人の息子ならきっと立派な騎士になりますよ」
「お言葉ありがとうございます」
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