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愛藍は席を立ち政士の元で「そろそろ帰るよ」と声をかける。政士は母親の横に立ち茱梨に「またね」と手を振った。
「では王女様、満足な話も何一つ出来ず」
母親が話している間、政士はずっと寂しそうに座っている茱梨を見ていた。
「…茱梨」
娘を優しく抱き締める。
「血は争えない…いずれあなたも、政士君も…」
「おかあさん…?」
「……ごめんなさい、帰りましょう」
「うんっ!」
いずれきっと茱梨も分かること──
辛い思いはしてほしくない。
王女の計らいで、それから茱梨と政士は週に一度は会うことになっていた。
そうしている内に五年が経ったある日、茱梨が8歳になった頃世代は現・国王へと引き継がれた。
めでたい式だけあって国民のほとんどが首都に集まり、いつもより更に賑わっている。
「王家は酷い」
黒く堅苦しい服を着させられ、首元をしきりに気にする政士はそう口にした。
「同時に騎士の任命式をやるなんて聞いてなかったよ」
「仕方ないじゃない…あなたが2歳の時に既にやったんだから、王家の方も急遽決めたそうよ」
数日前──政士は愛藍と共に城に呼び出された。
「ただいま参りました」
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