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──謁見の間。
祝辞の華々しい飾りが目を引く。
苦しい首元を気にしながら、政士は母親の愛藍と共に足を踏み入れた。
「国王陛下は間もなく来られます。そちらでお待ち下さい」
上級兵士──恐らくは国王護衛のS級兵士──が玉座の前を差した。
「母さん、今度は何の話だろう」
「きっと騎士としての初仕事じゃない?」
そんな他愛ない会話をしながら過ぎた数分後、ずっしりと如何にも重そうな服を羽織った国王が姿を現し、玉座に座り込んだ。
「こちらから申しておいて待たせてすまなかったな」
予想以上に若い国王。その目は未だに活気に溢れつつ、穏やかさすら感じる。
「もう七年前になるか。騎士任命式で政士君を見た。生前の前国王が言った通り、やはり彼の血は確実に流れているようだな」
「国王陛下、お話というのは」
政士が口を開く。
口を開いた瞬間愛藍や周囲の兵士、増してや政士までもが顔を強ばらせた。
そんな無礼な態度に国王は笑って、決して怒ろうとはしなかった。
「急くこともなかろう。話というのは他でもない。国王として、我が娘の騎士に言っておきたいことがあるのだよ」
「言っておきたいこと、ですか?」
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