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《4》
波の音が耳を潤す。
この街の波の音を聞いて、私達は育った。
「久々に来たね」
茱梨が言った。
無邪気に笑う茱梨を見て、政士は微笑む。
「気持ちいい~!」
靴を脱いで海水に足を浸せば、ひんやりとした波が訪れ足を冷やす。
二人で暫く水辺を歩いていると、茱梨が「痛っ!」という声と共に尻餅をついた。
「姫様!?」
政士が驚いて茱梨の横に立て膝をつく。
ワンピースがびしょ濡れになりながら、茱梨は恥ずかしいのか顔を逸らした。
「何か踏んだ…」
「踏んだ?」
茱梨の前に座り足首を持ち上げ足の裏を確認すると、うっすらと切り傷が見える。貝殻の破片を踏んだのだろう。
「切ってますね。まず水で洗ってから…」
言葉の途中、政士の目は足の間から僅かに見えるものにいってしまった。
「目のやり場に困りますね」
「洗ってから目のやり場に困る?」
不思議そうに茱梨が首を傾げる。
「いえ、今のはお気になさらず」
茱梨の言葉に笑いを堪えながら、政士が「立てますか?」と手を差し出す。
茱梨が差し出された手を握り引き上げられ立つと、政士が茱梨の手を自分の肩に回し体を支えるようにした。
「怪我をされた方は砂浜につけないようにして下さい」
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