第一章

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この国には王族を守るべく騎士制度が敷かれている。   茱梨を護る騎士──桐生政士は19年前、王家に遣える一家の次男として生まれた。   1年後生まれた茱梨の騎士として命じられたのは、政士がたった2歳の時だった。     最も年の近い男児     王族の最も身近な騎士となる資格を有する者が、彼しかいなかったからだ。       幼い頃から王族の子と騎士となる子を密接な関係にするのがこの制度の特徴である。 幼馴染み同然に育てることによって親しみを持たせ、反逆をなくす目的がある。   その反面──王族は王族分家若しくは一部の大富豪以外との結婚が許されていない。   この国の問題──茱梨が結婚に対して我儘を言い続ける理由はただ一つ。   政士に恋心を抱いている為。   彼への想いを断ち切らない限り、彼女の我儘は続くのだ。     そんなこと露知らず──というより全く興味のなさそうな──政士はただ「世の中を知らないだけ」と諦めているようだが。
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