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「ねぇ、テル。先生来るの遅くない?」
窓際の最後尾に座り、首に下げたネックレスを触る俺に、前の席の颯太が後ろを向いて話しかけてきた。
「テルテル煩いんだよ。まるで俺がテルテル坊主みたいじゃねぇか」
俺は視線を窓の外から外し、目の前の颯太を「これこそ不機嫌そうな顔だ」ってくらい不機嫌そうな顔で見た。
それを颯太は童顔の無垢な笑顔で返す。
この目の前で笑っている男、宮原颯太は小学校からの腐れ縁で、俺が本音を言える唯一の友達だ。
まぁ、いわゆる親友だ。
「まぁまぁ、そうカリカリしないで。未成年の時からそんなに厳つい顔してると、将来ハゲるよ」
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