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教師が教室を去ると同時に、隣の斉藤を代表に
世話好きの女子が聖楓の周りに集まる。
聖楓はその女子達に様々な質問を受けている。
まさに質問責め。
耳を傾けなくても、これだけ近ければ嫌でも声が聞こえてくる。
聖楓はそれを嫌な顔一つせず、質問に一つ一つ答える。
俺は少しだけ感心した。
俺が聖楓の立場だったら、欝陶しくて女子達を散らせているだろう。
もっとも俺に質問責めをする勇気あるやつは女子はおろか、男子さえもいない。
「なぁ、テル。楓ちゃん可愛くないか?」
目の前で話し掛けてくる颯太以外は。
「テルはどう思う? 期待してないとか言っておきながら、実は心の底で期待してたんだろ? どうなんだよ?」
「阿保らし」
俺はそれだけ言って颯太の質問に一切答えず、教室を出た。
廊下に生徒一人ひとりに準備された小型のロッカーが設置されている。
一限目の授業の数学の教材一式を取り出し、それを持って再び教室に入り自分の席に向かった。
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