皆朱の槍

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皆朱の槍

川中島決戦から数日‥‥上杉家では論功行賞が行なれていた。 論功行賞とは戦で武功をたてた家臣達に褒美を与える場である。 当然この席に氷室の姿があった。 重臣から順番に謙信公に褒美を与えられていく。そしていよいよ氷室の順番がまわってきた。 『氷室元春❗こたびの働き、まことに見事であった。お主の決戦の突撃が勝利のきっかけとなったと言っても過言ではあるまい、お主には皆朱の槍と部下1000人を遣わす。』 謙信のこの言葉に一同は驚いた。皆朱の槍とは武勇衆に優れている証なのである。皆朱の槍を氷室に渡すと言う事は謙信が氷室の武勇を認めたと言う事である。 氷室は嬉しさのあまり涙が零れ出そうになったが涙をこらえ謙信に御礼の言葉を言い、平伏した。 『お主の今後の武勇、期待しておるぞ。』 謙信は満足げな顔で氷室を見つめる。 『はは❗❗』 力強い声で返事をする。 『うむっ❗❗氷室よ、大儀であった。』 氷室はその言葉を聞くと謙信に一礼し、その場を去った。 そんな氷室の姿を謙信の傍らで見つめる一人の男がいた。
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