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兼備な側近
論功行賞を終えた氷室は自分の屋敷に帰り、読書に明け暮れていた。
そこに一人の男が訪ねてきた。
その男は上杉謙信の側近の樋口与六(後の直江兼続)であった。
『私とあまり歳が変わらないというのに優れた武勇をお持ちだ。私もあやかりたいものです。』
与六はどうやら自分と歳が近い氷室に興味を持っているらしい。
『いえ‥‥そんな事は御座らん。貴殿こそ、大殿(謙信)の側近など凄い知勇の持ち主なのですな。』
二人は歳も近いためか妙に話があいたちまち仲が良くなった。
そして話をしているうちに辺りが暗くなってきた。
『おぉ❗もう暗くなってた❗私はこれで失礼致します。』
そういうと樋口は楽しげに帰って言った。
この日の会話がきっかけで後に数奇な運命を共にすることを二人はまだ知るよしもない。
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