オルゴールの音

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何階分の階段を下りてきただろう もう、ショーンが持つ蝋燭の灯りがないと何も見えないくらいに真っ暗だった。 ふと、階段が終わったことに気付き、ショーンが真っ直ぐ歩き始めたことに急いで後を追った。 ここは…? 地下にも部屋があったのか。 それなりに整備されていた造りの廊下といくつかの部屋があるのか扉がいくつもあった。 「ココ…」 ショーンが一つの扉の前で立ち尽くしていた。 見るのが辛いという、息が詰まりそうな表情。 少しの間立ち止まっていたのに、ショーンはその部屋に入ることはなくまた歩き始めた。 私も、その部屋のことは気になった。 だけど、今はショーンを追ってしまった。 彼は、ずっと真っ直ぐ…光が届かないくらい奥に行くと…行き止まりだった。 そこで、じぃっとそこを見つめると、確認したのか蝋燭を蝋燭立てに置いた。 ガコンッと音がすると横の壁が動き通路が出てきて。 隠し…扉? 何の為のものかはわからないが、ショーンはその廊下を迷うことなく歩いていった。 奥のまた奥に、一つ冷たい空気の中にその空間はあった。 時間が経つのを忘れたかのようにある、一つの部屋が…… 「ダイゴ…サン……」 椅子に座っている、スーツを着た骸骨。 偽物でもなく、ボロボロに欠けた本物は恐ろしいはずなのに悲しいほど切なく胸を締め付けられた。 「ヤット…アエタ……」 震える声を出すショーンの瞳からは涙が溢れていた。
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