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「ショーン…もう終わりにしましょう?」
彼にオルゴールをそっと握らせた。
鳴り始めるオルゴール………
「この屋敷の命…眠らせてあげて…」
彼は戸惑っていた。彼の声がするまでは……
「ショーン」
扉の方から声がした。
「ア、アァ……」
ボロボロと涙を流すショーンの目の先には館の主の姿が。
しかし、彼は亡き人のためその姿は透けていた。
オルゴールの音が導いたのか…
「ショーン…もういいんだよ。一緒に行こう。」
彼はショーンへと手を伸ばした。
ショーンは涙を流したまま、その手を掴んだ。
「ありがとう。寿々子は君を連れてきてくれたんだね。」
おばあちゃんが…?
「彼女にすまないと伝えてくれ」
笑った姿には、あの絵のように怯えるものではなかった。
きっと、私はおばあちゃんが今まで持っていた父親への恐怖を感じてしまったのかもしれない。
「アリガトウ…」
彼は涙を流してそう言うと二人消えていった。
彼らが消えたとともにショーンの遺体は灰となり消えていった…
きっと、彼の遺体は時間が止まったままだったのだろう。
過去に行くこともなく、未来へも行けず…ただ止まった時へ。
私は、一つ床に置かれたオルゴールを持つとこの部屋を静かに出た――――
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