オルゴールの音

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屋敷のホール ピアノがあるところに彼はいた。 「お姉さん…」 「歌音くん!」 私は彼をギュッと抱き締めた。 「お姉さん、ありがとう。お父さん達を救ってくれて。」 歌音くんはニコリと可愛らしい笑顔で笑っていた。 「お父さ…ん?」 「僕のお父さんはこの家の長男だよ…僕は、時を止められたまま屋敷を出れなかった。お父さんが死んだときはお母さんのところにいた。僕はずっとさ迷っていた…屋敷のなかで魂だけ残った存在」 悲しそうに笑う。 その笑顔に、私は彼のお父さんの言葉を思い出した。 歌音くんを頼むと…… ギュッと手を握りしめた。 「お姉さん?」
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